「今日はホワイトデーだなぁ~」
カレンはぼそっと呟いた。ホワイトデーは男性からお返しがくる日である。でもカレンは学校の男子にはチョコレートを義理でも渡していない。 唯一渡したのは黒の騎士団の団員だけだ。しかも扇などだ。
「扇さんからもらえるかな~・・・・」
カレンはため息をついた。別に扇さんからほしいわけではない。カレンは彼女の尊敬する君主であるゼロからもらえたらなぁ・・・とひそかに心の中で考えていた。
「図々しいのは承知だもの・・・・」
そういいながらほっぺたを膨らまして外を見ていた。するとドアの外からカサっという音がした。
「・・・・ん?なんだろ・・・」
気になってドアを開けてみるとそこにはモノが置いてあった。きれいな薄ピンク色の入れ物に入っている。
早速開けてみると綺麗な色のブレスレットが入っていた。ホワイトデーのお返しとすぐに気付いたカレンは扇のもとに走った。
コンコン・・・・
「扇さーん。います?開けますよ?」
そうすると机に向かっている扇が返事をした。
「どうしたカレン。お前が俺の部屋に来るなんて驚きだなぁ」
「いや・・・扇さんあたしにブレスレットくれました?お返しで・・・・」
恐る恐る聞いてみると、扇は驚いた顔をした。
「ん?いや。俺はまだカレンに渡してないぞ?ちょっと待っててくれ。今とってくる」
冷蔵庫からチョコレートを扇がとってきた。
「これがお返しなんだが・・・ブレスレットがよかったのか?」
そう言われた瞬間カレンは失礼しました!と言ってチョコレートを受け取らずに走って出て行った。
自分の勘違いかもしれない。でももしかしたら・・・という思いを胸に秘めて廊下を走った。
部屋の前について息を整へ部屋をノックしようとしたら向こうから今会いたい人が歩いてきた。
「カレン・・・私の部屋になにかようでもあるのか・・・?」
「っ・・・いえ・・・あ、その・・・お聞きしたいことがあって・・・その・・・・」
「なんだ?紅蓮弐式のことか?それなら・・・」
というゼロの言葉を遮り
「私にブレスレットをくださいましたか!?」
といったカレンはハッと自分の口を手でふさいだ。するとゼロは、
「気に入ってくれるといいが。まぁ、お返しだ。カレンは私にチョコレートをくれただろう?」
欲しかった人からの突然のお返しにカレンは放心状態になった。願いがかなった・・・・・と言えばいいのか。夢なのかと思ってほっぺたを引っ張ってみた。
「い・・・・痛い」
カレンはゼロの方をもう一度見た。ゼロはそのままじっとカレンを見て、
「チョコレートを私がゼロの部屋の前に置いておいたのわかってたんですね。」
嬉しくなりほほ笑んだカレンを見ながら、
「団員のことをわかっていないと上は務まらないからな」
黒の騎士団として自分のことを見てるのかもしれない。でも今のカレンにとってはその言葉さえも嬉しかった。
「さぁ、私は用事があるので失礼する」
「あ・・・ありがとうございました!」
頭を下げてゼロとは反対側に歩いていった。もらったブレスレットをギュッと胸に抱きしめながら
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